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長野地方裁判所上田支部 昭和38年(ワ)26号 判決 1965年2月10日

主文

被告は原告に対し、金百参拾六万参百五拾六円及びこれに対する昭和三十七年九月四日より完済まで年五分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

本判決は第一項につき仮に執行することができる。

事実

原告は、

一、主文第一、二項と同趣旨の判決並びに仮執行の宣言を求めた。

二、その主張及び立証は別紙のとおりである。

被告は、

一、原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とする、との判決を求めた。

二、その主張及び立証は別紙のとおりである。

別紙 原告の主張及び立証

請求の原因

一、原告の夫訴外西沢和臣は昭和三十一年十一月八日被告の依頼に応じ被告が訴外柄沢正市から金百十万円を借り受けるについて(弁済期昭和三十二年十月三十一日)当時右訴外和臣所有の不動産を担保に提供して同日抵当権設定登記を了した。

二、ところが被告は弁済期を過ぎても右借用金を支払わないため右訴外柄沢から右不動産の競売を申立てられた。

三、その後昭和三十五年一月十三日に至り原告は夫訴外和臣から右不動産の贈与を受け、同日所有権移転登記を了したが、前記のとおり被告が右訴外柄沢に対し弁済しないため止むなく原告は昭和三十七年七月二十六日に至り右訴外柄沢との間に被告の借用金及びこれが弁済期の翌日である昭和三十二年十一月一日より昭和三十七年七月二十六日までの年五分の遅延損害金並びに競売費用訴訟費用等計百六十万円について弁済契約を結び同日百万円を支払い、同年八月二十四日金五十五万円を支払い、爾余の五万円は原告が右抵当権設定登記の効力を争つた際の競売停止の仮処分供託金五万円を充当して計百六十万円を完済した。

四、よつて原告は被告に対し、前記弁済金のうち元金百十万円、遅延損害金二十六万三百五十六円計百三十六万三百五十六円、及びこれに対する前記最終支払の日の後である昭和三十七年九月四日以降年五分の割合による法定利息の求償金の支払を求める。

被告の主張に対する答弁

被告の抗弁は理由がない。

立証(省略)

別紙 被告の主張及び立証

原告の請求原因に対する被告の答弁並びに抗弁

一、請求原因第一項の事実は否認する。

被告は訴外西沢和臣の依頼により同人が訴外深沢多喜治に対して負担する債務百八万円を弁済するため昭和三十一年三月中訴外小林六一郎より金員を借り受け、これを以て右債務を弁済し、約二ケ月後訴外株式会社北陸銀行長野支店より金員を借り受けて右訴外小林の債務を弁済し、更にその後約二ケ月を経て訴外長野県信用組合より金員を借り受けて右訴外銀行の債務を弁済し、続いて約二ケ月後訴外柄沢正市より金員を借り受けて右訴外組合の債務を弁済したが、右訴外柄沢よりの金員借入れにあたつては同訴外人は訴外西沢とは一面識もないとのことであつたので便宜被告が債務者となり、訴外西沢は担保提供者となり、昭和三十一年十一月四日百十万円を借り受けたもので、右債務は訴外西沢の訴外深沢に対する債務弁済のため順次借り換えにかかわるものであつて、本来訴外西沢の債務であり、被告としては何等責任のないものである。

二、同第二項の事実中、原告主張の不動産競売の申立があつた事実は認める。

三、同第三、四項の事実については、訴外西沢より原告に対して右不動産の形式的譲渡、及び所有権移転登記のあつた事実は認めるが、原告は訴外西沢の妻であり、右訴外西沢が各方面より負担する債務若しくは負担することあるべき債務を免がれる目的でなした虚偽の譲渡であつて無効のものである。原告の訴外柄沢に対する弁済の事実は知らない。

四、抗弁

仮に被告が前記貸金債務につき主債務者であるとしても、保証人兼担保提供者である原告の前主訴外西沢和臣が弁済期到来と同時に弁済すれば利息債務を生じなかつたのに弁済を怠つたため利息債務を負担するに至つたものであり、右は訴外西沢の怠慢によるものであつて被告には責任がない。

立証(省略)

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